もえどころ。

日々拾い集めた萌えをぽつぽつと。

森田剛主演「IZO」感想



唐突に「今だ」と思った。買ってからずーーっと「このタイミングではない。今見るタイミングではない。」と触れるタイミングを待ち続けてそろそろ半年。
ようやく、ようやくビビっときた。「今だ。今このタイミングで見るべきだ。」って。特に理由なんてなかったけど、そう思った。


で、見た。とんでもなかった。


まず初めに、どちらかと言えば元々感覚でものをいう人間だし、それを言葉にするのが苦手な私はブログなんて似つかわしく無いのかもしれない。(これだけ記事書いておいて言う)

でも、感情を小箱に詰めておく方法はないし、数日後.数週間後.数年後にぱかっと開けて頭にかちっとはめ込んで「あぁ〜この時の自分見終わった後こんなに熱に浮かされてたのね〜」なんて感じることも出来ない。同じ方法で、みんなに「こんなに凄かったの!!」って伝えることも出来ないから、やっぱり書く。
とにかくこの熱が冷める前に必死になって書く。10割自分がのちのち見返したいだけだけど、だからこそ書く。



まず、語弊を恐れずに言うと、舞台上に立つ彼は隅から隅まで"以蔵"に食い尽くされていた。
ー 天に飼われ、天に捨てられ、天に裁かれた犬。
そんな"岡田以蔵"がそこに居た。と言うか、あの場に立って居たのは"森田剛"では無く、紛れもなく"以蔵"だった。

本当にすごい。息つく暇もない。吸うことも吐くことも忘れて、ただただ画面を食い入るように見ていた。
彼が第一声を発した瞬間「あぁ、凄い。とんでもない人を見つけてしまった。とんでもない人に出会ってしまった。」と思った。もう逃げられないと思った。



そもそも私が好き好んで見る演技とは真逆…と言うと語弊があると言うか、極端に言い過ぎかもしれないけれど、今まで見てきたのはどちらかと言うと湿度が高くて温度の低い、表面上はぬめっとしてる演技ばかり。静かに、熱くて得体の知れない熱量を身に纏っているタイプだった。
でも今回は真逆。湿度が低くて温度の高い、火をつければすぐに炎が燃え盛るような…そんなカラリとした演技。強くて熱くて大きな形ある熱量を身に纏っているタイプだった。

何と言うか、圧巻だった。

あんなにも熱い何かを、あの小さな体の頭のてっぺんから爪先までに纏って、それを全力でぶつけてくる人は始めて見たし、あの体の何倍もの大きさの熱量にぶつかった瞬間、目の前に火花が散った気がした。


そりゃあメンバーだって役者さんだって演出家の皆さんだって、彼の事1ミリも放っておけないよなぁ、って。純粋に納得した。
彼の演技が、特に舞台上での演技が、あれほど絶賛されている理由がようやく分かった気がする。
IZO」一つ見たくらいで分かった顔されちゃたまったもんじゃないかもしれないけれど、でも、あまりにも凄かった。


彼が"カリスマ"と呼ばれて居たり"マスターピース"と言われたりして居るのって、ただカッコイイから…とか、踊りが上手だから…とか、我が道を行く一匹狼な部分が強いから…とか、そんなんじゃないって事を痛感したし、ある意味「演技」が彼をそう言わしめる理由の大きな一つになっているような気がした。


背筋がぞわぞわしたり、目が離せないような演技は今まで何度か見てきたことがあるけど、気迫に押されて後ずさりしそうになる演技は始めて見た。
何と言うか、演技…じゃない。何度だって言うけれど本当に"岡田以蔵"がそこに居た。




一度見ただけではたいした言葉も出てこなかった。ボキャ貧つらい。
ただただ「凄いエネルギーに触れてしまった」と言う感動?恐怖?のようなものが涙になって溢れ出た。

凄い、森田剛ってとんでもなく凄い。

これが2度3度見たら貧相じゃない感想が述べられるのか、と言われればそうじゃないかもしれないけれど、これからゆっくりゆっくり自分の中で消化して行きたいなぁ。
それに、彼が今までに発した「演技」への想いも「役にたいして」の想いも知りたくなった。それも少しずつ探そう、もっともっと、森田剛に触れてみたくなった。



見るのも感想書くのも本当に体力のいる作品だったからいまぐったりだけど、嬉しい疲れだなぁ。
これ、私の価値観を変えるような作品だったのかもしれない。ただただ圧倒されて居て、今はそうだったのかすらも分からないけれど。
でも今このタイミングで見たのはけして間違いじゃなかったと思う。


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IZO」この作品に出会えて良かった。