室温〜夜の音楽〜
今回はトニセン主演、室温〜夜の音楽〜 の感想をば。
とりあえず、物語の内容としては
殺害されてしまった(当時)女子高生サオリの十二回忌の日、その家族の住む屋敷にそれぞれが違う理由で集まった4人が(地元の警官、小説家であるサオリの父のファンを名乗る女、道に迷ったタクシー運転手、事件の加害者である少年C)その屋敷に住む2人(サオリの姉.キオリと、その父.十三)と絡み、個々の秘密が暴かれて行く。そして……
みたいな感じなんですけど(ざっくり)
まぁなんとも言えないちぐはぐ感。
薄暗さと、陽気さ、厭らしさ…白いキャンバスにグレーの絵の具をベタ塗りしたのに、塗り終わった後一箇所だけ塗り残しを見つけてしまった。みたいな不快感。
タクシー運転手、木村(いのはらくん)の言葉を借りるとすれば「絶望?それとも…願望!」みたいな感じ。
両極端な部分が重なって、歪な形を作り上げて居る。
物語中の基盤の季節となる夏の暑さのように、背中に嫌な汗が流れるようなじっとりねっとりとした温度の前半戦、とは真逆に、今度は終始ビリビリと体に電気が走って、瞳孔が開き鳥肌が立つようなひんやりとした温度の後半戦。
でもどちらも共通しているのは(あくまで私の感じたことですが)「湿度が高い」と言うこと。前半戦は上記のようにじっとりねっとりと身体にまとわりつくような湿度だけれど、後半戦も、ひんやりとしているのに身体中を這うような湿度を保っている。
またそれがなんとも言えないちぐはぐ感。
何度も何度も繰り返し見て、動きの一つ、表情の一つまでもを掬い上げて、ようやくストンと自分の中に落ちてくる。
伏線が多い分、何度見ても見終わった時に「あれ?じゃあ結局これってそう言うことだったの…?」ともやもやして、結局また繰り返し見てしまう。
完全に抜け出せない。中毒、無限ループ。
調べてみたら、これが放送されて居たのは 02/02/05〜02/03/19 つまり、主演を務めたトニセンさんたちは (●●)31歳、(^▽^・)30歳、(´ε`)26歳との事。
いやぁ、30前後の男が、あんなに深くて浅い(良い意味で)不愉快な作品を作ることができるなんて。
テレビ画面の中に居たのは確実に、地元の警官で子持ち既婚者で不倫中の下村、道に迷い屋敷で休ませてくれと頼んで来た空気の読めないタクシー運転手の木村、事件の当事者で加害者少年Cの間宮 の3人でした。アイドルの、V6の、トニセンの3人はどこにも居なかったよ。
表情や間の取り方、そして動き。全てが一人一人の役柄に何の違和感も覚えないくらい溶け込んで居て。
この人たち、恐ろしいな。って、そう純粋に思ってしまった。
「役の中の彼ら、それを演じる彼ら。あの画面上から滲み出て居た狂気は、一体どちらのものだったんだろう。」
そんな事を考えながら何度も見た作品は、きっと毎年夏が来て蝉の音を聞くたびに思い出して見るんだろうな。って。
そんな風に思える、とても素敵なサイコホラー作品でした。
うーん、もえどころをぽつぽつ落として行きたいけどそんな暇あるかな!無いね!!